2013/04/27

光の先にあるものは。

 
えっとゴブリン編の続きのお話となります。
だらだらと長い文章ですが
よろしければどうぞ。  

 
「グギギギギ・・・・」
 
私の目の前でゴブリンが口から血を吹き出しながら
苦しそうな表情を浮かべ私を見つめていた。
私の手には剣が握られており
刃先はゴブリンの喉元へ静かに押し込まれていく。
 
「・・・・・・」
 
私は何も言わず剣を持つ手に力を込め
ゴブリンが息絶えるのを待っていた。
やがて静寂が辺りを包み込む。 

 
「・・・・・・・はぁはぁはぁはぁ」
 
心臓の音がやけに大きく感じる。
私は呼吸を整え横たわるゴブリンの様子を窺う。
 
ゴボゴボと口から血を吐きながらゴブリンは絶命していた。
私は剣を引き抜きフラフラと立ち上がる。
辺りを見渡し誰も居ない事を確認すると
気配を殺しながらこの場を後にする。
 
(早く・・・早く逃げないと・・・・)
 
暗闇を突き進んでいくと
遠くから聞こえる悲鳴と嗚咽が洞窟に木霊し
その声に反応するかのように私の体は恐怖の為か震えていた。

 
洞窟内は暗く、私は方向感覚が狂い始めていた。
すると目の前に一筋の灯りが見え
灯りの方向を目指し進んでいく。
私は目の前に見える光景に思わず身を竦めた。
 
(うっ・・・・・・人の頭が・・・)
 
人の頭が槍に串刺しにされ燃え上がっていた。
目は見開き恐怖を感じたまま首を切り落とされたのだろう。
その光景に私は思わず顔を背けた。
 
(こんな・・・・ひどい・・・・うぅ・・・・)
 
しかしここで立ち止まっているわけにはいかず
私は所々に設置されている灯りを頼りに
入り組んだ洞窟内を息を殺し進んでいく。
 
 
ヒタヒタヒタヒタ・・・・
 
しばらく洞窟の中を彷徨っていると
洞窟の奥から何者かが歩いている音が聞こえた。
私は咄嗟に身を隠し何者かが過ぎ去るのをじっと待っていた。
 
(お願い・・・そのまま・・・あっちへ行って・・・・)
 
しかし私の願いはもろくも崩れ去り
ゴブリンは私を見つけるや両腕を大きく開き大声を上げる
 
「ウギャアアアアァァァアア!!」
 
咄嗟に私は奪った剣を抜きゴブリンに体当たりをしていた。
手に感じる確かな手ごたえ。
ゴブリンの腹部に剣は突き刺さっており
私は力を込めてゴブリンの腹部へ押し込んだ。
 
「ギャウグアァァァァア!!」
 
丁度押し倒された形となったゴブリンは必死にもがき
鋭い爪で私を腕を掴み振り払う。
ゴブリンの必死な抵抗に私は吹き飛ばされ
持っていた剣は真っ二つに折れていた。
 
「グアァァウグアウギャァァァァァ!」
 
痛みに苦しみ暴れるゴブリン
私は息を切らしながらその隙に逃げ出していた。
背中越しにゴブリンの痛みに苦しむ声が聞こえる。
 
 
洞窟の奥からゾロゾロとゴブリンが追いかけてくる足音が聞こえる。
私は息を切らしながら必死に逃げ回る。
そして先ほどとは違う灯りの筋が見えはじめた。
 
「はぁはぁはぁ・・・・」
 
(出口!やっと・・・・やっと・・・・逃げないと)
 
追手はそこまで迫っていた。
私は最後の力を振り絞り洞窟の出口へと走り出す。
必死の思いで扉を開き、そのまま私は、後ろを振り向く事無く
走り続けていた。
 
「・・・・・ギャァウウウギャ・・・・・ウギュ・・・・・・・・・・・・ウ・・・・」
 
どんどんと小さくなるゴブリンの声。
それでも私は後ろを振り向く事無く走り続けていた。
 
(もういやぁ!・・・もうあんなのは嫌!)
 
私はただ必死に逃げる事だけを考え走り続ける。 

 
「はぁはぁはぁはぁ・・・あっ!・・・・・・っっ」
 
フラフラになりながらも走っていた為か
木の根に足を取られ転んでしまった。
咄嗟に後ろを振り返り追手の姿を確認すると誰も居ない。
追手をまいたのだろうと思うと、体の力が一気に抜け
私はその場に座り込んでしまった。
 
「はぁはぁはぁはぁ・・・うぅぅぅ・・・はぁはぁ」
 
必死に息を整えながら辺りを見回すと民家が見えた。
私はフラフラと立ち上がり民家を目指して歩き出していた。

 
しばらく歩くと民家に辿りついた。
私はドアをノックし声を上げてみるが、反応が無い。
ハッとその時自分の状況に気付き複雑な気持ちになるも
勇気を出して、もう一度声を上げてみるが反応が無かった。
 
(私・・・裸・・・・血が・・・・こんなのどうやって説明したら・・・)
 
ノアノブに手を掛けてみるとガチャリと音を何の抵抗も無く扉が開く。
 
「あの・・・・・何方か・・・・いらっしゃいませんか・・・・・?」
 
私は中の様子を窺いながら声を掛けていた。
 
 
様子を伺いながら私は家の中へと足を踏み入れる。
テーブルの上には食器や食べ物が置かれており
空家ではなく人が生活している事が感じられた。
私はキョロキョロとあたりを見渡しながら奥へと進んでいく。
 
「・・・・・・どなたかいらっしゃいませんか?」
 
私の声に反応する物は無く静寂があたりを包み込む。
 
(誰もいない・・・・うぅぅぅ・・・)
 
体中に感じる痛みと疲労感で意識を失いそうになるも
フラフラになりながら何度も声を上げていた。
ゴブリンから受けた拷問で体は弱りきりもう限界だった。
 
ガタッ!
 
急な物音に私は驚き振り返ると男が立っていた。 

 
私は突然の事に驚き体を丸め
声さえ出すことができず震えることしかできなかった。
 
すると男が口を開き私に問いかける。
 
「誰だお前は・・・しかも血まみれじゃないか」
 
私は男の問いに答えようと必死に口を開くが声が出ない。
それと同時にどんどんと視界が暗くなっていく。
 
「・・・あぁぁ・・・・ぅぅぅぅぅ・・あぁ・・・」
 
言葉さえ発する事ができず
ただ震え目から涙が溢れ出していた。
ボロボロと止まる事無く涙は溢れ続け辺りを濡らしていく。

 
「た・・・た・・す・・・け・・・て・・・ぅぅぅ・・・」
 
先ほどまで声さえ出なかったのに
私は男に助けを求めていた。
 
「・・・・・・ふぅ」
 
そんな私を見つめる男は先ほどとは違う優しげな声で
私に問いかけていた。
目の前で泣きじゃくり震える女を不憫に思ったのだろうか?
 
「何があったか知らんが、しばらく休んでいきなさい」
 
「その傷ではまともに動くこともできんじゃろう?」
 
男の優しい言葉に私は安堵し
それと同時に体に広がる脱力感。
目の前がどんどんと暗くなっていき意識が遠のいていく。
もう立っている事さえできず私はその場に倒れこんでいた。
 
「おい!だいじょうぶか!!お・・・・」
 
 
遠くから男の声が聞こえる・・・・。
 
何を言っているんだろう?
 
もう何も考えられない・・・。
 
私の意識は闇への飲み込まれていく。
 
・・・・・・・
 
・・・・
 
・・・
 
・・
 
続く。

 
長くなりそうなので一旦ここで区切ります。
と言うかお話の大まかな流れはできているんですけど
なんだかモチベーションというか
思い浮かばないというか・・・
止まっちゃうんですよね・・・。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿